営業の醍醐味は、お客様が満足してくれた時。
お客様からありがとう!
の言葉が何よりも嬉しく思います。
今回は、製造業で20年以上働いている私が営業の相談にのり、
とりあえず任せろ!
と言って作った便利工具を題材として、御用聞きのテクニックを紹介します。
ちなみにですが、
今回相談してきた営業マンは、同じ会社で働く2人の営業です。
1人は、営業職25年以上のベテランで、もう1人はその人の下で働くまだ2年目の若者です。
ただ、この先輩営業マンは25年も営業やってるのに、いまいちパッとしない人です。
私は、過去に営業や工程管理の経験が、計5年ほどあります。
過去に勤めてた2社でそれぞれ、技術営業を経験しており、現在は設計や機械加工をやってる現場の作業員です。
それでは、御用聞きのテクニックを紹介します。
営業は御用聞きから始めよう!
お客様のところへ打合せに行った時です。
この時はちょうどコロナウイルスの影響で、テレワークが盛んな時期でしたが、うちの会社と取引会社のほとんどは、テレワークがあまり浸透していません。
理由は、試作業界で企業秘密なものだったり、実際の品物を見ながらでなければ仕事にならないからです。
以前から取引のある会社へ、ベテランと若手の2人で打合せを兼ねて訪問した時のことです。
本来の打合せを終えて工場を歩いてた時、若手が工場内の作業している人の様子を見て一言。
そこそこ大きな会社なのですが、丸い円盤みたいなものを1つ1つ手でパキパキと折っているのを見つけました。
すると、打合せをしてた部長さんが
と言って、横を歩きながら簡単に教えてくれました。
この言葉を若手営業は、聞き逃しませんでした。
そして、若手の営業は、
と言って、ベテランの上司が止めるのを振り切って、会社へ持ち帰ってきます。
客先が欲しい!という欲求にいち早く対応すると?
サンプルを持って帰ってきた若手営業マンは、各製造部署の職長へ相談します。
しかし、答えは…
そんなの無理だよ!変な物もってくんなよ!
と、怒られました。
それを見てたベテラン営業マンは、
と若手に指導します。
さらに、
まるで見離したように伝えます。
そこで困った若手営業マンが私のところへやってきました。
「○○さん、これ… なんとかなりませんよね?」
そこで私は、
でかした!
いいものを持って来たな。
と言って、彼を褒めて品物を預かります。
ところでその会社、次はいつ行くんだい?
すると、
「あさってです。」
おいおい、随分急だなぁ。まぁ明日1日はあるから大丈夫だ。明後日には必ずその部長さんに直接会って、これから作る物を説明してこいよ!
そして、部長と現場の意見を必ず聞いてこいよ!
そう言って、私は本来の業務の合間を使い、簡易的なオリジナル治具を作り始めます。
※製造業では、特殊工具のことを治具(じぐ)と呼びます。
私はかつて営業だった時、
お客様の困ってることにいち早く対応したら、すごく喜んでくれて、その後大きな案件に繋がった経験があります。
あの時の経験をこの若い営業マンにも体験させたい気持ちでいっぱいです。
治具を作るにあたり、ヒントは3つ
- 現場では手でパキパキと折っていた
⇒ それほど寸法精度を必要としない。
- 見てて大変そうだと感じた
⇒ 簡単に出来るものを提供したい
- 立場のある人(部長職)が困ってる
⇒ 悩みを解決できれば大きな案件に繋がりやすい
これらを頭の中で整理して、私の出した答えは
叩き台となる品物を出来るだけ早く提供する!
です。
初めから100%を目指さない営業、目指すは60%
さっそく作業に取り掛かります。
治具ですが、本来は金属で作りたいのですが金属を使うと時間と材料費が掛かってしまいます。なので、樹脂製のもので簡易的に作ることにしました。
目指すは60%の完成度です!
イメージでいうと、
「こんなのってどうでしょうか?」
と、
営業が、あくまでもアイデアだけを提供するような品物です。
耐久性とか再現性は考えません!
行きあたりバッタリのような工具です。
そんなんじゃぁ、逆に失礼になっちゃうんじゃない?
と思いがちですが、実際は違います。
変に凝ったものを作ってしまうと、相手も「これ、けっこうお金かかってるよね?」と心配してしまいます。
まして決裁権のある部長職となると、お金を払わなきゃならない気持ちになってしまいます。
なので、あくまでも
「こんなんでどう?」
というような品物がちょうどいいんです。
なので、完成度でいうと60%くらいの品物です。逆に完成度が低い方が、現場から
「もっとこうした方が良い」
とか、
「こうしたほうがもっと使いやすいんじゃないかな?」
というように、現場の生の意見を聞き出しやすんですよね!
何回もお客様と一緒に試行錯誤を重ねていくと、お互いの信頼と親近感も高まります。
で、実際につくったのもがこんなものです。
話しの叩き台として作った簡易的な専門工具
まだ製作途中ですが、このような物です。
今回客先で困っていたのがこちら
こちら、セラミックで出来ています。厚さは0.16ミリなので、普通のコピー用紙2枚重ねたくらいの厚みです。
大きさは、手のひらサイズ。
こちらを先ほどの治具にセットします。
この台に乗せたら、しっかりと固定します。
すると、赤矢印のところがはみ出してます。
次に穴あけパンチの要領で一気に押し切ります。
すると、先ほど赤矢印ではみ出していたところが、
このように綺麗に無くなりました。
カット前とカットを比べると、
左がカット後の品物で、右は何もして無いものです。
このように一回り小さくなりました。
切り抜かれた破片
このようにカットされました。
(この後は、使用する企業の特殊工具でギザギザした切り口を綺麗に整えて、再利用するそうです。)
けっこう機密情報なので、写真は断片的にしか載せてませんが、このあともう少し使いやすく手を加えてます。
工具といったら、大げさですが、
これくらい簡単な物で、
「こんなんでどう?」
という60%の完成度を目指した特殊工具です。
コレを使うと、セットしてカットしてばらすまで1個につき30秒とかかりません。
今まで手でパキパキしてた時は、1つ形を整えるのに慣れた人でも3分以上はかかっていたそうです。
営業の新人に伝えたいこと「相手は人間」
どんな仕事も相手は人間。
これは、営業職についている人は、
特に忘れないで欲しいです。
製造業でも、それを使うのは人間です。
ITやコンピューターでも、最終的に使う途中過程で扱うのは人間です。
家畜や農家、林業でも最終的にたどり着くのは人間の欲求です。
私は現在営業職ではありませんが、自社の営業と話す時は必ず金額や納期よりも、お客様という人間が満足することを大前提として接してもらうように伝えています。
もしあなたが営業の新人教育をしているのでしたら、相手は人間ということを第一に教育して欲しいです。
ベテランも新人の心忘れずに!
今回簡易的な治具(特殊工具)を納めることになり、ベテラン営業マンは私に対して何も言ってきませんでした。
たぶん彼が新人だった時、きっと私みたいなことを他の先輩から教えてもらってるはずです。
そして、ベテランの彼は若手営業マンに、
と言ってしまったことを少なからず反省してくれてると私は信じたいですね。
営業は御用聞きで受注成立(まとめ)
今回は、ベテラン営業マンのメンツを潰してしまうようなことをしてしまいました。
でも、お客様にとっては、
ベテラン営業マンと若手営業マン、どちらの人に好感を持ってもらえたかは、言うまでもありません。
後日、約束の時間に若手営業マンが私の作った(テキトーな)治具を持って、実演しながら説明してきました。
そして、帰ってきたら真っ先に報告をしてくれました。
すると、
- もっとこうした方がいい!
いや、
- こっちの方がいい!
という意見が飛び交い、もうしばらく現場で使ってみてからより使い勝手の様子を連絡します。
このように報告してくれました。
今度は正式に、
金属で8個ほど製作依頼をかけますので、少し待ってて下さい。
と部長から製作依頼の話しも頂けたことを若手営業マンは、嬉しそうに私に教えてくれました。
若手営業マンは、私にお礼を言ってきましたが、
今回は、お前が現場の困った!を見つけたから繋がった案件だよ。
お客様の御用聞き、これからも忘れずにね!
と伝えました。
現在私は、もっとちゃんとした治具(特殊工具)の為に、少しカッコよく3DCADで設計中です。
最後に
今回は、半導体チップの元となるウエハースをカットする為の刃物(部品)を再利用する案件でした。
この記事を書いている段階では、まだコロナウイルスの影響で経済が回って無い状態です。
しかし、つい先日も半導体チップ関係の相談がありましたので、製造業やIT関係もけっこう動き出しているな!
5GやテレワークなどでIT関係の技術や新しい部品製作、けっこう始まってるぞ!
近々、半導体部門の産業が一気にV字回復してくるぞ!
そう感じてます。
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